環境エンリッチメントとは、飼育動物の福祉と健康の両面で、「幸せな暮らし」を実現するために、本能的な活動性や多様な行動を引き出し、望ましくない異常行動を減らすために行う様々な飼育環境の改善を言い、飼育動物の福祉の向上に最も効果的な手法のひとつとされています。

飼育環境とは、ケージや遊び場といった物理的な環境だけではなく、ヒトや同種の他の個体との関わりという社会的な環境までも含みます。
この物理的環境や社会的環境を変化させることにより、自然な生態に近い多様な行動を引き出し、自然な生態に近い時間の消費スタイルを実現することを環境エンリッチメントと言います。

環境エンリッチメントの取り組みは、大きく次の5つに分類されます。

  1. 採食エンリッチメント:エサの種類や与え方を変えるなど、食物に関するエンリッチメントで、野生下での苦労して食物にありつける行動を再現することです。
  2. 空間エンリッチメント:飼育環境の構造や設置物、遊具や床材などに関するエンリッチメントで、潜る、齧るなどの行動特性を再現することです。
  3. 感覚エンリッチメント:飼育動物の視覚、嗅覚、聴覚を含む感覚に刺激を与えるエンリッチメントで、五感を刺激するように環境を変化させることです。
  4. 社会的エンリッチメント:ヒトや同種固体など、他の動物のかかわりに関するエンリッチメントで、社会性を再現することです。
  5. 認知エンリッチメント:複雑な操作を行わないとエサが食べられない装置を与えるなど、飼育動物の知性を刺激するエンリッチメントで、飼育動物が思考できる環境を作ることです。

うさぎの環境エンリッチメント協会では、環境エンリッチメントをヒトと暮らす全てのうさぎに実践することにより、うさぎの『生活の質=
Quality of Life』の向上を達成しすることを目的としています。